遡って15年前、まだフリーランスになったばかりの頃お世話になっていた、
当時土田美登世さん率いる料理王国編集部。
レストラン取材から食材生産者、食文化の歴史ルポなど、
様々な切り口の食ページを担当させていただきました。
今思えば、私の大暴走にも近いポルトガルのルポを8ページも任せてくださり、
ポルトガルに本気で向かい合う最初のチャンスをいただいたのも懐かしい。
その当時土田編集長が燃えていたのが、
日本のイタリアンやフレンチの歴史をひもとく特集。
私はなぜか明治時代を担当することが多く、毎回国会図書館に通い、
ボートルはバターとか、温飩はマカロニの意味とか、
普通の生活では活用しようのない洋食黎明期の頃の蘊蓄的知識が
どんどん増えていきました。
そんな懐かしい2006年の「パスタ100年史」から15年、
再び土田さんから明治時代のイタリアン黎明期を調査するよう出動依頼をいただき、
今回はパスタに焦点を絞って「日本のパスタ事始め」を取材し、まとめることに。
明治前後の洋食黎明期の資料って意外に少ない。
だから、似たような記事を検索すると書いてある事は大体一緒で、
それと同じ記事ではわざわざ15年ぶりにやる意味がない。
そこで、イタリアでは同時期どんな様子だったのか、フランスでは?
さらには、料理の世界以外でも、マカロニの痕跡は日本国内に無いのかなど調べました。
その結果、19世紀末に長崎の外海にある出津村で、
村人とともにマカロニを作っていた
フランス人宣教師マルコ・マリー・ド・ロ神父の物語や、
西洋料理人の先駆け、草野丈吉が作ったマカロニソーフなるメニューなど、
15年前にはたどり着かなかった情報に出会えました。
ド・ロ神父のエピソードは今も長崎で語り継がれ、地元メーカーの努力もあり、
ドロ様そうめん、長崎スパゲッチーと言う商品名で販売されています。
……と、これ以上詳しく書くと記事を読んでいただいた時につまらないので、
詳しくはどうぞ料理王国最新号を読んでみて下さい。
昨年、遠藤周作記念館のある長崎の出津を個人的興味で訪れていたので、
電話取材で地元メーカーの方や出津の修道院長などと電話でお話をしながら、
何かに導かれている気がしてなりませんでした。
コロナで国会図書館も閉まっている中リサーチがうまく行くか不安でしたが、
100年以上経ったデータ類はオンラインで閲覧できたりと結構手段は見つかるもの。
オンライン化最高。
今回は様々な方にご協力いただけたおかげで、
現地に取材に行かずとも、詳しい資料なども手に入れることができました。
SNSではつながっていませんが、株式会社サンフリード様、えぬ編集室様、
お告げのマリア修道会様、女子パウロ会様、
ホスタリア・エル・カンピドイオ吉川シェフ、
ホテルメトロポリタンエドモント中村名誉総料理長、及び関係者の皆様、
改めてご協力ありがとうございました。
明治から現代まで、日本人が愛してきたパスタの歴史や魅力、シェフの皆さんの思いが詰まっている料理王国最新号、ご興味のある方はぜひご覧下さい。
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