2013/06/20

チキンピリピリ

ジメジメ、ジットリの梅雨の季節ですねー。

とくに電車の中のジメジメがすさまじい!

最近はラッシュ時間に乗ることはあまりありませんが、
会社員時代はいつも恨めしい気持ちでいっぱいでした。
だって、薄手のシャツなら電車に乗っている間に
じんわ~り適度に湿って、着替えたいぐらい。
肌にピッタリ付く気持ち悪さったらないです。
不快指数1000%。

あのサウナのような状況は、

ほんとになんとかならないのか!
働く前にクタクタじゃん!
と何度思ったことか。

だからこんな時期は、せめて仕事帰りに何か辛いものでも食べて

お口の中をカーッとさせて、すっきり気分になりたい!と思う人が多いよう。
大好きな浅草のベトナム料理店もタイ料理店も
連日予約でいっぱいです。ちっとも食べられません。

仕方がないので自分で辛いものを作ります。

ただし、我が家の4歳児も考慮に入れて、
ごはんのおかずとワインのつまみになるもの限定。
しかも娘、まだまだ辛いものはNGなので
(インドやタイなどの辛い料理先進国は
子どもの辛さ慣れをどうやっているんだろう、知りたい!)、
何でも辛く調味する前に取り分けないといけません。
うっかり全部辛い仕上げにしちゃうと、
自分のつまみはあっても娘の夕食のおかずがないという
大失敗の状況になってしまいます。

いえ、正確には
気が着いたらオール辛い仕上げが何度かあって、
そのときは納豆に助けてもらいました。
ほんと、働く母ちゃんは納豆さまさまです。
納豆に足を向けて寝られない。


で、最近よく作るのが、これ。

「チキンピリピリ」
冷えたヴィーニョヴェルデと一緒に!


ポルトガルでは

「Frango Assado com Piri-Piri(フランゴ アッサード コン ピリピリ)」
という名で親しまれているもので、
炭火などで焼いた鶏に辛いソースをかけたもの。

これは、祭りの出店やテイクアウト店で見かけることの多い
ファストフード的なメニューです。

ポルトガルにはピリピリという唐辛子のソースがあり、
これを肉料理などにふりかけて食べることが多い。

辛いソースをピリピリというのは、

日本語の表現と似ていますよね。
ポルトガル語でピリピリと言えば、唐辛子を使った香辛料のこと。
オイル系も粉末も、唐辛子そのものも全部まとめてピリピリです。

私の勝手な推測ですが、
ワインやパンやてんぷらを日本に伝えた470年前のポルトガル人が
唐辛子を紹介したときに、
ポル人:(唐辛子を指さして)「ピリピリ!」
日本人:(唐辛子をかじって)「こりゃ辛い!ピリピリ辛い!」
こんな会話を繰り返して、
やがていつの間にか「ピリピリする」「ピリッと辛い」の表現が
日本に定着したんじゃないかなあ。

チキンピリピリは、鶏の手羽先に、
唐辛子やニンニクなどを混ぜて作ったソースを塗って
パリッと焼いたもの。

詳しいレシピは、
ウェブメディア「cakes」内の連載
http://cakes.mu/
「とりあえずビール!」
ご紹介しております。
バダサオリの名前などで、検索してみてください!


2013/06/06

渋谷区富ヶ谷「ナタ・デ・クリスチアノ」

富ヶ谷「ナタ・デ・クリスチアノ」のナタ。
シナモンと粉糖たっぷりふって、
焼き立てをパクリ!がおすすめ
「皮がサクサク」「卵クリームが上品」と、
プレゼントするたびに喜んでもらえるお菓子があります。
編集者やカメラマン、料理家など
おいしいものに詳しい人も絶賛の
渋谷区富ヶ谷の「ナタ・デ・クリスチアノ」の卵タルト。
1個200円という値段もうれしい。

ここは日本で唯一と言ってもいい、
ポルトガルの国民的お菓子「パステル・デ・ナタ」専門店。
ちなみにナタはクリーム、
パステル(複数形はパステイシュ)はタルトの意です。

「パステル・デ・ナタ」は聞いたことがなくても、
「エッグタルト」ならどこかで聞いたことがありますよね。
そう、昔流行ったエッグタルトは、
もともとポルトガルのナタをベースに、
ポルトガルの旧植民地であるマカオで進化して
日本に入って来たもの。




リスボン「パシュテイシュ・デ・ベレン」のナタ。
ポルトガルでは珍しく控え目な甘さで、
6個ぐらいペロリといける


私の食べた感じでは、
いわゆるエッグタルトとパステル・デ・ナタとは、
皮の食感やクリームの様子がかなり違います。

もっとも顕著なのが皮。
ナタの皮はタルトという名からイメージする
さっくり粉系ではなく、
パリパリ、いえ、バリバリにクリスピー。


たとえば、
ポルトガルの首都リスボンにある老舗菓子屋
「パシュテイシュ・デ・ベレン」の名物ナタは
1日に1万個以上売れるという
国民的人気菓子ですが、ここのナタは秀逸。



リスボン・ベレンの店では、
焼きたてがガンガン配られます。
左の男性が手にしている縦長の箱はお土産用
何層にも重なったバリバリの香ばしい皮は、
まるで揚げた湯葉のよう。
ほど良い塩気の皮にかぶりつくと、
中からとろとろの卵クリームが溢れる。
やさしい甘さの素朴な風味の卵クリームは、
ボウル1杯食べたい衝動にかられるほど。

リスボンでベレンのナタを食べるたびに、
日本でもこんな卵タルト、
誰か作ってくれないかなあといつも思っていました。

でも、このパリパリは600度近いオーブンの火力や
乾いたヨーロッパの気候や
粉の質とか、修道院の秘伝レシピとか、
いろいろあるからなあ、
やっぱり難しいんだろうなあ、と
勝手に納得してあきらめていたら……。







鮮やかなポルトガルブルーのひさしが目印の、
落ち着いたかわいさ佇よう店構え



渋谷区富ヶ谷に今年1月にできた、ここ
「ナタ・デ・クリスチアノ」
見事にあのナタを
完成させているじゃないですか。

もー
えらい!
うれしい!
そんでもって、おいしい!






お店の雰囲気を盛り上げているタイルは
アズレージョ作家・廣井ひとみさん作
こちらは、近所にあるポルトガル料理店
「クリスチアノ」の姉妹店。
「クリスチアノ」オーナーシェフの佐藤さんが、
以前から温めていたナタの専門店のアイデアを
今年1月に実現した店です。

大好評のナタの味は、とにかく日本人好み。
食感のいいパリパリの皮は、粉の風味溢れる香ばしさ。
甘さ控え目なクリームは、やさしい卵の風味たっぷり。
余計なものを一切加えず、
シンプルなおいしさが前面に出ているから、
いくつ食べても飽きない。

オーナーの佐藤さんと奥さまのなつみさんが
ポルトガル各地で食べたナタをベースに
自分達日本人が好きな味を追求し、
さらに「ドース・エスピーガ」というポルトガル菓子店を
運営している(現在休業中)菓子職人・
高村美祐記さんも工房でレシピ開発に加わり、
唯一無二の味になりました
(ちなみに美祐記さんは昨年秋、ポルトの海岸沿いにある
カフェ「Tavi」でもお菓子修業をしています。
その様子も取材してあるので、
いずれご紹介します)。



くるくる丸めた生地を一定の厚さに切って、
ポルトガルから輸入したナタの型へ。

ポルトガルのナタのバリバリの皮と
素朴な卵クリームを再現するべく、
何種類もの粉を検討し、
バターを吟味し、
卵を試しとナタに最適な素材を選ぶのはもちろん、
ポルトガルから取り寄せたナタの型に
生地を指で成型する際の
繊細な厚みの調整なども細かく追及。

ナタの皮(生地)の厚みや層のバランスは
主に親指使いで決まるのですが、
指の厚みや反る角度などが工房のスタッフ
個々にバラバラなため、
厚みを一定に仕上げられるよう、
毎日何百個もひたすらペタペタしては
焼く日々だったそう。





生地を親指で型に添わせる通称“ペタ”作業。
手早く、優しく、一定の厚さを守ってきれいにと、
おいしい形にするのはなかなか難しい
1月の開店後も
さらに試行錯誤を繰り返しながら
改良が続いているそう。
もうかなりおいしいというのに!

ところで工房を仕切っているなつみさんいわく、
これからの梅雨の時期は
ナタの最大の敵“湿度”との
大きな戦いが待っているそうです。
絶対負けないですよ、と、
気合入ってました。

工房内は常に一定の温度と湿度に保たれて
肌寒い位なのに、
やはり日々の天候で生地の焼け具合には
微妙に影響が出るそう。
そのための秘策も、練りつつあるようですよ
(秘策なのでここでは書けませんが、
伺って、思わずへーっと言ってしまうアイデアです)



窓の向こうできびきび働く
ナタ職人の動きも気になるのです



ところで、
焼き立てのナタは
お店に入ってすぐの
正面の小窓から手渡されます。

小さなお店の9割が工房になっていて、
工房の端にちょこんとくっつけたような
ほんの一角が売り場になっています。

工房の裏(実際は正面ですが)で
焼き立てを売っているような雰囲気、
珍しくて結構楽しい。
カフェではなく、あくまで工房というのが
このお店のスタンスなんですね。




ワインにビール、「クリスチアノ」のお惣菜も
売っているので持ち寄りパーティ前に便利!

また、
店に入ってふと右を見ると、
ポルトガルのワインやビールなども
販売されています。
ワインはひとくちサイズ150円というのがいい。
焼き立てナタにシナモンと粉糖をたっぷりふりかけ、
立ったままここでパクッと食べ、
ワインやエスプレッソで
さっと喉を潤すのがポルトガルスタイル。
それが実践できます。

右のかわいい黄色いタンクも気になりますねー、
これはレモン水のサービス。
これから暑くなる季節にはうれしい!









工房内にはポルトガルのガロ(雄鶏)をモチーフにした
イラストなどが描かれ、いい雰囲気


ところで、
こんなにおいしいナタを
どんな人が作っているのか、
やっぱり気になりますよね。

せっかくなので、
工房内の職人のみなさんに
集まっていただきましたが、
なんと全員女性。
しかも笑顔だらけ! 
和む!
空気がやわらかい!




はじける笑顔の中で作られるナタ、
食べたら幸せになれそうですねー

穏やかな雰囲気の中で
みなさん丁寧に、
真摯に、
ナタを作っていました。

お菓子の工房は
お店によって随分雰囲気が違いますが、
こちらはとーっても楽しそう
ひとりひとりの動きはきびきびしつつも、
明るい雰囲気でした。



宅急便での発送もしてくれます。冷凍も可。
食べる前にトースターで軽く焼き直してどうぞ


ちなみにこれからの暑い季節には、
冷蔵庫で冷やした「冷やしナタ」も
おすすめです。
冷蔵庫内は乾燥しているので、
ナタの皮もパリパリをキープできるし、
ひんやりした卵クリームもまた、
おつです。
皮に塩気があるので、
ワインと合わせてもいい。
私はやっぱり、
ショワショワのビーニョヴェルデかな

笑顔いっぱいの女性たちが作るポルトガルの卵タルト
「パステル・デ・ナタ」、
ぜひお試しを!