2018/01/24

家庭料理と自転車

現在発売中のdancyu最新号では、
いつものお店や料理の紹介とは違った、
料理上手と料理下手の違いってなんだ?と言うテーマで、
レシピの読み方についてひも解くページを執筆しました。





内容は、料理初心者の編集部員が、
家庭料理研究家のレシピを読みながらまずは自分で作り、
その後、料理研究家本人に正解を作ってもらい、
どこが違うのかを検証するというもの。
途中漫画も入って、気楽に楽しく読めるようになっています。






作ったのは肉野菜炒め。
身近で一見簡単な料理だけど、結構手ごわい。
段取りと火加減、調味料のタイミングなど、ポイントてんこ盛りです。

また、編集部員以外にも多数のdancyu読者にも実際に作ってもらい、
レシピがどんなふうに読まれるかを検証しました。
同じレシピでも作り方は人それぞれ。
料理に慣れている人は、レシピに書いていないことも自然と自分で理解して、
つまずかずに仕上げている印象でした。
それにしても、料理って本当にその人が表れるものです。
写真とコメントを見比べるだけでも、個性が出ていて面白かった。

私は家庭料理もプロの料理もどちらも20年近く取材していますが、
料理は、子供が自転車に乗れるようになるのと
上手くなるプロセスが似ていると思います。
それは家庭料理でも、プロの料理人になるにしても同じこと。
勘やセンスの良し悪しこそありますが、
初めてでいきなり達人なんてもちろんいません。
転んでひざをすりむいたり、生垣にぶつかったり、
あるいは上手くいったときの感触を思い出したり、
見ていてくれた人にアドバイスしてもらったり。
その繰り返しがあって、上手になっていくのだと思います。
つまり、迷いながら材料を選んで、キッチンで素材を洗って、切って、
調理して、盛り付ける。できれば、ときどきは誰かにも食べてもらう。
誰かの感想や食べている仕草を見ていれば、
もっとおいしく作ろうと思えてくる。
それが何度も繰り返されると、
だんだんとどうすれば失敗しなくなるかが分かり、
どうすればより美味しくなるかに気がつくのだと思います。
そして自転車同様、多少失敗しながらも作り続けるということが大事なんだと思います。
家庭料理だから、失敗したら自分で食べちゃえばいいだけです。

だから、たとえば大人になる前に子供が家で家族に料理を教わる、
あるいは自分で覚える、
さらには大人になってからでも家で料理を覚えるというのは、
経済的にも精神的にも物理的にも合理的だし
なによりとても意義のあることだと思うのです。
家族が家族に強制する必要はないけれど、誘ってみるのは決して損ではない。


人生で1番自分に関わりのある料理は、どうしたって家庭料理です。
料理ができるということは、
もてなしや家飲みやホムパやインスタ映えどうこうという以前に、
男性も女性も関係なく、自分で自分が食べる毎日の料理を作れると言う事を意味します。
店で食材を選んで買い、切ったり洗ったりの下準備をし、
ごく身近な調理道具を使いこなし、だんだんと自分好みの味を自分で作れるようになり、
それが小さいけれど、確かな幸せにつながっていくのだと思います。
そしていつか、その自分の味を、友達や恋人、
家族や子供などに食べてもらうことで、
身近な人の笑顔を感じたり、自分の心も温かくなったり、
そんな、人生で1番大切にするべき時間を手に入れやすくなるのだと思います。

料理を作るということは、
つまり自分の人生を豊かにするための術でもあると言えます。


dancyu誌面に登場していただいた料理研究家の大庭英子先生が作った野菜炒めは、
野菜の食感と味のバランスがびしっと決まって、
ご馳走のような肉野菜炒めでした。
撮影後、スタッフ全員、もういい大人ですが、
大喜びしながらわしわし食べて、あっという間に皿が空になりました。
近所のスーパーで買った野菜を、ごく普通の調味料で炒める。
これだけなのに、みんなが喜ぶ料理ができる。
あとは白いご飯と汁物があれば、シンプルだけど満足度120%の食事です。
そして私はその日から、自分の家でも夕飯のおかずに躊躇なく
肉野菜炒めを出すようになり、自分なりに調味料を変え、
より自分好みの味にしています。


独りで生きる人が確実に増えていくこれからの世の中では、
コンビニや外食産業が生み出す、
手軽だけど添加物や保存料入りの食事ばかり取らざるを得ない人が
ますます増えるでしょう。
だからこそ今後は、自分で自分の食事を作れるかどうかが、
人生の質を大きく左右する、命に係わる問題になっていくだろうと思うのです。
自分の生活の本質を決められるのは、結局は自分でしかないのだから。
自転車に乗れた方が、
見える景色も行動範囲も違って、きっと楽しいことが増えるはずです。

2018/01/23

1月20日の「ポルトガル食堂」も温かい会になりました

新年初、1月20日のポルトガル食堂では、
たくさんの方とさまざまなポルトガルワインを楽しむことができました。

初対面の方々ばかりですが、ワインが入ればいつも和やかなムードに


今回の1番の目玉はアンフォラを使ったワインです。
赤ぶどうと白ぶどうを一緒に発酵させ、
色はラズベリーのような明るい赤、味わいはぐっと複雑で奥行きがたっぷり。
ほんのり梅のようなニュアンスもあり、しみじみ味わいたくなるタイプでした。
初めてアンフォラ仕込みのワインを飲んだ方は、
「これは全然違う!」と驚かれた様子でした。
確かに、はっきり主張するというより、
味の核を知りたくなってついつい飲み進めるという感じ。
それが、アンフォラワインの魅力なのかな、と思います。

自然な造りのヴィーニョヴェルデ白、ロゼ、アンフォラ仕込みロゼ、
ダンの赤、ポート、マデイラ、モスカテル、ジンジーニャの8種。
白をもう少し飲みたい方多数で、リスボン地方の白を1本追加。
とにかくよく飲む酒豪が集まった会でした。気持ち良かった!

料理は5種をご用意。
チキンピリピリやにんじんと金柑のクミンサラダ、
豚とアサリのご飯などポルトガルのテイストのものに加え、
新潟の真鯛の昆布じめに和ハーブのサラダを合わせたものなど和食もご用意し、
ポルトガルワインの楽しみ方を、
参加者それぞれに見つけていただきました。
昆布じめの白身魚は、白との相性がばっちりで、私がおすすめしたい組み合わせなんです。生の魚の刺身はとても美味しいけれど、
どうしても特有のあと味があり、
普通に白ワインと合わせると、微かにケンカしている気がして。
でも、昆布〆にすると凄い。ワインとどんぴしゃりです。
そして紫蘇などの和ハーブをたっぷり。
ヴィ―ニョヴェルデもすすみます。

この食事会、ときどき男性も参加できるのかという問い合わせをいただきますが、
もちろんイエスです。
いつも男性は1、2名参加されていることが多く、
今回も1名いらっしゃいました。
聞き上手で話上手な男性で、
いつのまにか参加者の人気者になっていましたよ。
この会は、食や旅への好奇心の強い方なら、
男女問わず楽しんでいただけています。
男性お一人での参加も珍しくはありませんので、
どうぞ気楽に遊びに来てください。


次回は2月24日(土)の予定です。
着席の会になりますので、デザートまでお出しします。
まだまだ寒い時期ですので暖かいグラタンやご飯ものを検討中です。
お申し込みはこちらまで。

2018/01/08

2018年もよろしくお願いいたします。

2018年、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

お正月は家族で箱根の温泉へ出かけて極めてゆっくり過ごし、
戻ってからも、家族や友人とのんびり過ごした年末年始。
なんとなく、オフの間はSNSに写真をアップすることも止めてみようと思い立ち、
そうなるとリラックスの度合いが違います。

アップすることを止めて一番効果的だったのは、
他の人が何をしているのか、全く情報が入ってこないこと。
3日も見ないでいると早速情報デトックスが進み、
自分のことを、今一度じっくり考える気持ちになれました。
と同時に、SNS前の時代が懐かしく感じました。

自分が人生の主役だという事実を、
SNSはあまりにも邪魔する傾向が強い。
娘たち小学生やあるいは10代の子供が
このSNS全盛の時代に育つということは、
目下最大の脅威です。
SNSなんて、今すぐ消えて欲しいと思う反面、
仕事などで便利に感じている自分。まさに現代人の悩みです。

SNSを排除し、家族や親しい人と、笑って喋ってお酒が飲めるなんて、
こんなに幸せなことはない。
今の自分の状況に、心から感謝の松の内でした。

欲を言えば仕事もいい流れに乗れたらいいけれど、
こちらは自分の努力次第。
同じか、あるいは現時点ではそれ以上に大事な子育てと家庭運営も並行しながら、
できるところまで仕事の幅を広げたいと思っています。
と言いつつ、今年は取材旅行も長めに出掛けるつもりでもあり、
葛藤の年になるのかなあ。

新年最初のお知らせは、
料理雑誌の老舗『栄養と料理』の「料理教室探訪」という連載で
取材を受けたこと。



文字の大きさが、読者への気遣いそのものです



4ページ、じっくり取材していただきました

写真家のキッチンミノルさんには、実に鮮やかに私のガハハ笑いを捉えていただき、
ライターの田中のりこさんには、教室のはじまりについてや特徴などを、見事に滑らかな文章でまとめていただきました。
同業として、しっかりした仕事の仕上がりを見せていただき、新年から気持ちが上向きました。栄養と料理の編集チームのみなさん、ありがとうございました。

2018年も、こつこつ楽しみながら、前進します。
どうぞよろしくお願いいたします。

1月20日のタスキーニャ、あと数名のご参加が可能です。
今回は特別に、アンフォラ仕込みの希少なポルトガル自然派ワインをお出しします!
お申し込みはこちらまで。