2012/05/15

珍しいポルトガルのチーズ&ヴィンテージポート

梶田さんが持ち帰ったポルトガル直送チーズ5種。
ソムリエ馬場さんおすすめのヴィンテージポートも一緒に
先週末、ポルトガルのチーズとポートワインを味わう会がありました。
場所は目黒にある梶田泉さん主宰のチーズ教室
http://www.cheese-school.jp/


ポルトガルでチーズを巡る旅をされてきたばかりの梶田さん、
旅のお供に私のポルトガルの本を読んで下さっていて、
それが縁でお知り合いに。
チーズを食べる会にも参加したというわけです。


ポルトガルのチーズ、
日本ではかなーりマイナーです。
なんたって輸入数が少ないんですよね、
チーズ専門店でもほとんどみかけません。
だから滅多に食べられない。

そもそもポルトガルは直行便がないので
輸送も手間がかかるし、
商品管理もポル流でざっくりしていることが多々あって
商売としてはギャンブル要素が多く、なかなか難しいそう。



これ、チーズだけに限らず、ワインでも小物でも全般に言えるようです。
ポルトガルの商品を扱う輸入業者さんは、
みなさん必ず「もう、本当に大変なんです」とおっしゃいます。


ポルトガルのざっくり感覚、よくわかります。
私も南部北部を問わず、約束の時間から半日待ちぼうけたり、たびたびありました…。
日常生活でのざっくりなら、ま、いっかでも、商売となるときっと大変でしょう。

で、チーズとポートの話に戻って。


直径20㎝ぐらい。どっしりボディは
包帯でぐるぐる巻きです。
やわらかいチーズだから、
こうやって布を巻いて成型します


 会で食べたチーズは5種類。


 なかでもポルチーズで最高峰と言われる
 セーラ・デ・エストレーラ
 (star mountain range=星山脈)
 という名のチーズが盛り上がりました。
 産地がそのまま名前になっていて、
 ポルトガル人にとってもこのチーズは別格。
 氷見のブリとか、大間のマグロとか、明石のフグとか、
 そんな感じかな、いやちょっと違うか。
 いずれにしても、このチーズの名を耳にすると
 「おほっ」と顔がほころぶ感じです。


 上の部分をふたのようにカットして、
 液状化している中身を食べます。
 フランスのモン・ドールのように、
 スプーンですくって食べるしかない。
 だってトロトロなんです。






セーラ・デ・エストレーラ。トロットロです
こんな感じ。
とろけちゃってます! 
これ、スライスパンにつけてもいいんだけど、
おすすめの食べ方はパォン・デ・ロー、
つまりカステラにつける食べ方。  
甘いとしょっぱいを一緒に味わえて、止まりません。


ポルトガルのパォン・デ・ローは、
スペインのビスコチョ同様、
日本のカステラの原型と言われています。
ただ、現地のパォン・デ・ローは、
日本のカステラよりさらに卵の風味が強くて
素朴な食感のものが多い。
だから、クリーミーなチーズによく合います。
ここにポートワインを合わせると、
いかにも大人のデザート。





冷水をかけるとピキッっと割れる音がします。
飲めるよー、という合図に聞こえます

さらにこの日は、
ヴィンテージポートの開栓もありました。

開けているのは、
ソムリエの馬場祐治さん。
98年のポートワイン・ソムリエコンテストで
優勝されたこともある方で、
ポートなら馬場さんと、業界で有名な方です。

私は馬場さんの名前を聞くと
親近感が湧いてしまいます。
というのも、私が「馬田」という珍しい名前で、
小さい頃からよく「馬場」さんと間違われたから。
だから、初対面でも仲間みたいに思えちゃう。
あ、あなたは馬場さん!私は馬田です!みたいな。
まあ、ものすごく一方的で迷惑な話ですが…。

話をポートに戻して。
飲んだのはバロス1983年。
80年代ではかなりできの良い年だそう。



そもそもヴィンテージポートは毎年仕込めるわけじゃない。
非常に出来の良いブドウができた年に限られ、せいぜい10年に2~3回と希少。
これなら大丈夫、ヴィンテージポートに仕込めるぞというブドウができた年は、
ヴィンテージ宣言がなされるくらいですから。

で、希少だと当然値段も高くなります。

でも、愛好家の中には、そこまで高いのは普段から飲めないよ! 
という声が多かったそうで(そうだそうだ!)、
カジュアルにヴィンテージを楽しむために開発されたのが
LBV(Late Bottled Vintage)、レイト・ボトルド・ヴィンテージ。
ちゃんと熟成感もあるから、これ、お買い得。
ヴィンテージ宣言するほど完璧じゃないけど、これもかなりいけるよね、という
上出来なブドウを使って作るという決まりがあり、
4~6年樽熟した後、ろ過・瓶詰めして出荷されます。

つまり澱が入っていないので、開けてすぐ飲めます。
LBVとフォンダンショコラの組み合わせ、私はポルトガルでかなりはまりました。
ただし、ただでさえ甘+甘コンビですから、
フォンダンショコラの甘さはできるだけ控えめがいい。
カカオの香りと相性がいいようです。


話がややそれたので、ヴィンテージの話に戻ります。

「料理王国」06年8月号より。
この時開けたのはテイラー85年のヴィンテージ
ポートワインが好きな方はご存知かと思いますが、
ポートのヴィンテージは開栓が独特。
数十年瓶内熟成させているためコルクがボロボロになっている可能性があるので、
瓶の首ごと切って開けるんです。
以前、雑誌「料理王国」でテイラー社を取材したときに開栓についても紹介したので、
部分的に見せつつちょっと説明すると…。

1.テナスという、首部分を掴む器具をバーナーで熱する(かなりじっくり熱します)。
2.ボトルの首部分をテナスで掴み、熱を加える(この加減がプロならでは)。
3.熱した部分に冷水をかけ、割る(ひとつ前の写真で馬場さんがされている作業がここ)。
4.コルクごと割れた部分を外す。
5.デカンタして瓶内にたまっている澱を取り除く(澱、たっぷり)。




同じく「料理王国」06年8月号。
ドウロ上流のブドウ畑や、
テイラー社のワイナリーの様子も
取材しました
テイラー社での撮影は、
デモンストレーションに使用した部屋の
ターコイズブルーの壁がポートワインをより美しく見せ、
とても印象的でした。

また、ここはオープンテラスがあって、
レストランもあります。

左のページまん中がそのテラスや中庭の景色。
高台からドウロ川を眺める絶好のロケーションなので、
ウェディングパーティも開かれるのよ、と、
広報のアナさんも嬉しそうに話していました。

ポートワインがお好きな方がポルトガルに行く際は、
まず、テイラー社をはじめ
50以上のシッパー(ポートワインメーカー)が
ひしめくドウロ川沿いのヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアという
地域を訪ねていろいろなポートを味わい、
時間があればドウロ川を上って
ぶどう畑を見学にいくのがおすすめです。
電車で上流の町まで旅するのも気持ちが良いですよ。




ああ、私もまたポルトガルを感じる旅をしたい!
ポルトガルのチーズやワインを楽しんだら、いやでもますます気持ちが盛り上がります。
3歳児を連れてあちこち取材できるのかどうか、
それとも、取材はあきらめて自分のオフとして娘と旅するべきか。
もしくは、娘を親に託してガンガン取材旅行するか。
はあ、悩ましいなあ…。





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