2012/04/17

手品



紫陽花の葉。ワシワシ伸びています
毎朝、仕事前に娘を近所の保育園に歩いて送り届けるのですが、
その通り沿いには紫陽花がたくさん植えてあります。

梅雨の時期の花の美しさはそれは見事ですが、
一転、秋から冬にかけての紫陽花ってかなりさびしい様子。
だって、カラッカラの丸坊主の枝だけです。
しかも切り戻されて背も低くなっている。
この枯れ枝たちは、はて何だったっけ、という感じ。

冬が終わり春が近づいてくると、
ようやく小さな黒っぽい鶏の爪みたいな形の芽が節々に付きはじめます。
これまた最盛期の鮮やかな葉や花からは到底想像できないぐらいの地味さ。
しかもこの芽、尖った感じもしていてちょっと怖いぐらいです。

娘はこの芽を見るたびに「これ、なーに」と私に聞いたので、
「あじさいの葉っぱの赤ちゃんだよ」と答えると
「ふーん」と信じがたい様子。
だって黒くて尖った赤ちゃんって、ねー。
でも、娘は赤ちゃんという言葉に反応して、
3歳のお姉さんの私はこれを守らねば、と思ったのか
「赤ちゃんがんばれー」と芽に声をかけたりしていました。
一方、私はそんなふうに答えておきながら、
これが本当にあの紫陽花の葉や花になるのかなあ、と
どこかで疑わしく思っていました。

ところが、ところが。
春を迎え、周囲に暖かい空気が流れ始めると、
あの鶏の爪みたいな鋭い芽は急に大きく変化しはじめました。
あんなに黒く小さかった芽がむくむくと目を覚まし、
赤紫の葉に形を変え始め、さらに徐々に鮮やかな緑の葉に変化しつつあります。
しかもすごい勢いで葉を広げているのです。
その様は、まるでちょっとした手品みたい。

人の成長っていうのも、これと似たようなことなのかな。
ちょっとした変化がきっかけで
それまで貯めていたエネルギーを一気に放ち、
以前には想像もできなかったものに大きく変化する。
そして、変化したらまた力を貯めて、次の変化に備え地味に日々を過ごす。
なにも子供に限ったことではなく、大人だってそうなんだよなあ。
紫陽花みたいに、咲いて、散って、力を蓄え、また成長する。

1年周期でハレとケを繰り返す紫陽花をみていると、
「ほら、何回でも咲けるんだよ!」というメッセージをもらっているみたいで
大人の私もちょっと勇気が湧いてくる。

紫陽花、今年も楽しみ。


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