2017/01/31

比べない夜

心から会話を楽しめた、いい夜に共通すること。

料理が美味しいお店に行っても
出てきた料理の話はほとんどせず、
美味しいワインや日本酒を飲みながらも、
こりゃ美味しいねー、とその味を喜び合うだけ。
すぐに会話に戻る。
質問が飛び交い、
笑ったり、驚いたり、考え込んだりと、
感情が賑やかに動くこと。

腹を割ってとか、
腰を据えてとか、
そんな大袈裟なものじゃないけど、
でも、たとえば自分の人生の中の、あまり明るくないような話も安心してできる、
聞いて欲しくなる、そんな時間。
大人には貴重な、いい夜だ。

昨晩集まったのは、
辞めて10年以上経つ古巣の出版社の先輩と後輩たち。
年齢幅は上下10歳ぐらいあるけど、
もうそんなものが全く存在しないかのような気楽さ。
しかもお互いの近況もよくわからないまま、
数年ぶり、あるいは10年ぶりぐらいに会ったりしているのに、
軽々と時空を超えて席につける。

働いた部署も手掛けた仕事もみんなバラバラなのに、
でもあの先輩や、あの後輩が担当していた仕事は知っている。
しょっちゅう飲んでいたわけじゃないけど、
その人となりそれぞれに、懐かしさを感じることができる。
それって、かつて住んだ街のような、
かつて通った店のような、
そんな存在。

大人になって人生でいろんな失敗を重ねてくると、
時々その話を誰かに聞いて欲しくなる。
でも、誰にでも話せるわけじゃないし、
わかってもらえるわけじゃない。
だから、
懐かしさに包まれて、
リラックスしながら、
どんどん自分の話を聞いて欲しくなるような時間が、
本当に嬉しい。

そんな夜はきっと、
自分を誰とも比べない時間、なのかもしれない。

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