2018/08/28

夏の天草とたこのこと

夏のオフを満喫しようと、小4の娘と長崎&天草へ。
天草では素敵な偶然が重なって、料理の仕事もしてきました。

美味しいたこの産地でもある天草。
今年は南蛮文化が栄えた歴史的シンボルとも言える、
天草の崎津教会と崎津集落が世界文化遺産に登録されたこともあり、
天草のたこと南蛮文化を組み合わせた料理を考えてみませんかというご提案を受けて、
創業32年のたこ料理専門の宿、有明にあるあさひ荘の松本國雄さん、鈴子さんのお二人と、
ポルトガルテイストを加えた新メニューを作りました。
ワイン好きなお客様も増えているというお話もうかがったので、
ワインにも合う味を意識しました。

あさひ荘の厨房で松本さんご夫婦とたこを料理しながら、
自分が教えて欲しかった、生たこの下処理について色々伺いました。
一番驚いたのは、生のたこを茹でるときの1番の厄介ごと、
たこのぬめり取りについてです。
通常は塩で揉むのが一般的ですが、これがまた大変な力仕事。
一度天草で経験したのですが、冷水の中でひたすら塩揉みは相当根性がいります。
塩もみをしないでいい方法はないのか地元の方に聞いていると、ありました。
ぬめりごと一旦冷凍してから、水で洗ってぬめりを落とす、というものです。
こうすると、ぬめり取りが楽なのはもちろん、
たこの筋肉繊維がいったん壊れるので、茹でたり焼いたりしたときに
軟らかく仕上がるというメリットもあるのです。
それ以来、私はこの冷凍方式で生のたこを処理していました。
では、たこのプロ、あさひ荘ではどうやって生たこを下処理しているのか。

伺ってみると、あさひ荘でも当初は下処理に相当苦労されたそう。
毎日相当な数の生たこを扱うわけです。
あの大変な塩揉みはもちろん、叩いたり、冷凍したりとあらゆる工夫をされ、
そして最後の最後に行きついたのが、
なんとぬめりは取らない!
生のたこを、ぬめりごと茹でるという方法だったのです。
私はそれを伺ったとき、口を開けたまましばらく声が出ませんでした。
だって衝撃です。
そうか、そもそもぬめりを取らないのか。

あさひ荘さんの人気たこ料理は、そうやって32年支持されてきたわけです。
ぬめりは取らないといけないという思いこみ。
思い込みのせいで、なんという遠回り。
東京では生のたこを扱える機会がなかなかないのですが、
今度機会があったら、思い切って挑戦してみようかな。

この取材、詳しくは9月8日のTV朝日「食彩の王国」でオンエア予定です。

どんな番組になるのか、私も楽しみです。

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