2020/04/09

ようこそと客をもてなす心境になるには、まず安心できる社会が必要

dancyu5月号は「ひとり呑み」特集。
こんなタイミングではありますが、発売中です。

いまはみんな家呑み。
けれど先々、いままでどおり外に呑みに行けるようになる日は必ず来る。
それまではこの特集をつまみに、
晴れて飲める日が来るのを静かに待ちましょう。
そうそう、家呑みの達人たちが、家つまみを教えてくれるページもあります。

それにしても。
この取材をしていたのは2月終わりから3月頭にかけてのこと。
まだ、どの店もお客さんで賑わっているころで、
ソーシャルディスタンスなんて言葉は影も形もない。
いつも通り片寄せるぐらいの距離感で、多くの人が気ままに酒場を楽しんでいました。



表紙のイラストはタナカカツキさん。「バカドリル」が懐かしい!

担当した記事の校了は3月23日。
その頃も、客足が減ってきたとはいえ、
まだ多くの店が踏ん張りながら営業していました。
徐々にテイクアウトを平行する店も出てきはじめ、
様子が一変したのはその後、4月7日の緊急事態宣言が出されてから。

店の営業を縮小して続けるべきか、自粛すべきか、
あるいはテイクアウトで続けていくかという判断も、
自分で決めてくださいという状態。

強制的に店を閉めなさいという通達はなく、
決断は自己責任でと押し付けられてしまった。
経営者への補償はないも同然。
困っている人には融資するっていうけれど、それは実際借金と変わらない。

それってつまり、天地がひっくり返るような荒波を、
しかもいつ止むかわからない状況の中、自分の力だけで泳ぎ切れということなのか。
頼りになりそうな大型救助船は一隻も出ないどころか、
救命ボートも、浮き輪も、小枝すら投げないのか。

飲食の場で生まれる数々の縁や友情や愛情が、
文化へと熟成する創造のもとを生んできたんじゃないのか。
世界を形作る最小単位である、家族やコミュニティを作ってきたんじゃないのか。
楽しむときだけワイワイしておいて、常連顔しておいて、
困ったら知らないふりなのか。


9日現在、今月号のひとり呑み特集に掲載された飲食店の多くが
営業の形を変えざるを得ない状況にあり、
dancyu編集部ではその情報を随時更新しています。


今回私はこの特集の町呑み企画で、北千住を紹介しています。
それぞれの店で、料理人やサービス人が重ねているもてなしの努力の積み重ねが、
店の中に漂う居心地のよさを作っていることが、よくわかりました。
お金とは別に、意欲や情熱、愛情という人の感情があるからこそ、
店は魅力的になる。
でもそのプラスの感情は、安心や信頼という社会の基盤なしには生まれません。
滑ったり転んだりして落ちても誰も助けに来ない崖っぷちで、
おもてなしの心なんて生まれるわけがない。
オリンピックで誰かをもてなす前に、
この国で生活する私たちが、まず互いを思いあえる環境でなければ、
海外からの訪問客に、ようこそなんて言えるわけがない。


本当はいま頃、掲載でお世話になった北千住のお店、
創業140年超の「大はし」をはじめ、「徳多和良」「オステリアルーチェ」「天七」「アタル」のみなさんに、本誌をお渡ししながらお礼呑み参りをしているはずでした。
それができないことが悔しい。
あなたのお店がどんなに素敵かということを、呑みながら伝えたかった。

今、私に何ができるのか。
せめて書くことでお役に立てるのなら。
小枝の先のささくれでもいい、役に立ちたい。
そう思いながら、雑誌作りを続けています。
でも、この状況での取材にもそろそろ限界がある。

本当に、どうしたらいいんだろう。

1 件のコメント:

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