2012/08/14

『Hanako』最新号と『地球はグラスのふちを回る』について

食べるもので人生が変わると教えてくれる本
と紹介いただきました。
なんとありがたいお言葉、嬉しいです。
『Hanako』8/23号に私の本が紹介されていると
友人が教えてくれたので、早速書店へ。

『Hanako』を手に取るのって久しぶりです。
ロゴは一緒でも版型その他随分変わってたんですね。
かなり若返っていて、新鮮な驚きでした。

昔いた出版社に『caz』という女性向けの情報誌があって、
その雑誌の宣伝を担当していたことがあり、
ライバル誌ということで仕事上よく読んでいました。
もうだいぶ昔の話です。

最新号の『Hanako』の表紙には、
嵐の5人がドーンと載っています。
そして巻頭スペシャルは嵐のインタビュー。
それにしても、嵐って本当に仲良さそうだなー。

さて、本編の特集は東京カルチャー2012ということで、
グリーン、ブック、ステーショナリー、ワークショップなどの切り口で、
ショップやアイテム、カルチャーイベントなどを紹介していました。

私の本は、こだわり書店が選ぶ「食」と「旅」の本12冊の中の1冊として紹介いただいていました。

それにしても、私の本以外のラインナップが、
自分が本屋で見て気になっていた本や好きな本ばかりだったのもとても嬉しい。

パンを食べて愛して研究するパンラボさんが、
日本全国のパンをあらゆる角度から研究・紹介している
『パンラボ』(写真左上のパンから人が顔を出しているイラストの本)や、
ブルターニュ地方の修道院レシピ500を集めた『修道院のレシピ』(写真一番左の黄色い本)、
穂村季弘の『食物漫遊記』(写真右上のポットに寄りかかっている本)など。

マニアックにテーマを掘り下げながらも、遊び心がある本、
もしくは、著者が夢中で大まじめに掘り下げ過ぎて、
そののめり込み方につい笑わされてしまうような本。
そんな本が楽しい。


1981年発行。これは95年に買った25刷り

ではもし私が、
こだわりの「食」と「旅」の本を1冊推薦して
と言われたらですね、
迷わず推すのはこれ。
開高健の『地球はグラスのふちを回る』です。


この本は、言わずと知れた博覧強記の作家、
開高健の食に関するエッセイをまとめたもの。
私が食に関する文章で最も影響されたのは、
開高健のこの本です。

最初に読んだのは、
確か父の本棚にあったのを手に取った
大学生頃だったかな、
とにかく、ページを開いて数秒で夢中になりました。

アマゾン、アラスカ、パリ、ベルギー、チェコ、ウィーン、
パリ、サイゴン、ニューヨーク……
日本国内はもちろん書ききれないほど。
最高級レストランから道端の露店まで、自分がピンときたら、食べる。
いつでもどこでも、そのスタンスが徹底されています。

開高健の食エッセイには、
おいしいもおいしくないも超えた、
周りの文化、いや、そのときの周囲の空気ごと食べる勢いがあります。
とにかく自分の感覚と独特の表現で、
ちっとももったいぶらない書きっぷり。

読む人が、書き手にまったくジェラシーを感じずに、
食べたことのない料理、飲んだことのない酒をただただ空想し、
おいしい時間を過ごせるんです。
まさにプロの文章。

食べものエッセイや異文化エッセイって、
読む人が「なんだかコイツ自慢くさい」と思ってしまったらアウトだと感じますが、
それってなかなか難しい。
それをいとも簡単に、かつごく自然に読ませるのが開高健のすごいところです。

開高健の文章に、今でも恋しているぐらいです。
ブログに載せる写真を撮ったあとに早速数ページ読み返したら、
もういつのまにかニヤニヤしてしまっていました。

このエッセイで読んだ越前ガニがどうしても食べたくなって福井まで行ったり、
あるときから、家ではウォッカではなくズブロッカばかり飲んでみたりと、
笑えるほどにエッセイに影響されまくってきています。
そして、そんなことをしているのがまた楽しい。

この本のなかに「ベルギーへ行ったら女よりショコラだ」
というエッセイがあるのですが、
そこで紹介されている森の奥のレストランも、
私の想像の世界では忘れられないレストランになっています。

行ったこともないのに、
忘れられないレストランなんてヘンな話ですが、
開高健の筆にかかると、
読者はそんな体験を本の中でいくつもいくつも経験するんです。

本って、すごい。
開高健の本には、いつもそう痛感させられます。


ああ、開高健への愛が強すぎて話しが脱線してしまいました……。


ところで、今回『Hanako』に私の本を推薦して下さったのは、
西荻にある『旅の本屋 のまど』さん。
旅の本だらけの中から推薦して下さったなんて光栄です。

『旅の本屋 のまど』さん、ありがとうございます!

そしてやっぱり、
開高健は最高におもしろい!!

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