2012/05/25

ポルトガルの血のスープ

パッパス(シュ)・デ・サラブーリョ。
ヴィアナ・ド・カステロで飲んだおしゃれバージョン。
お店のポルトガル人も「このスープは濃いわよ!」
と忠告してくれました
ポルトガルに「血のスープ」ってあるって聞いたんだけど、
おいしいの? という質問を
フェイスブック上でいただきました。


はい、あります!
血のスープどころか血のデザートまであります!
せっかくだから、簡単にご紹介したいと思います。


血のスープは北から南まであります。
私が実際に飲んだのは、
左の写真の「Papas de sarrabulho(パッパス・デ・サラブーリョ)」。
北のヴィアナ・ド・カステロという町と、
アマーレスという村のレストランで飲みました(次の写真)。
豚の肝臓、肺、耳、のど、腰肉などなどに、もちろんたっぷりの血、
それに鶏肉少々と小麦粉を適宜加え、
クミンをたっぷり効かせて
ドロドロになるまで煮込んだスープ。


ご想像通り、非常に、大変、ものすごく濃厚です。
でも、濃厚ですがスパイスを加えじっくり煮込んであるので
決してクセのある強い味ではなく、
むしろコクのある柔らかい味に仕上がっていました。
いや、柔らかいは言いすぎですね。
血が入っているので、それなりに野性味はあります。


あれ、でもこの写真だと、どうもそのワイルド感が伝わりませんねー。


写真を撮ったこのお店、
ポルトガルでは結構センスのある今どきっぽいレストランだったので、
少しだけ飲んでみたいとお願いしたら、ものすごく少なめポーションにして出してくれたんです。
こんなこと、ポルトガルでは滅多にありません。


ごく一般の田舎の(いや、都会でもありますね)レストランで頼むと、
洗面器になみなみ注がれた黒っぽいアズキのスープ、
みたいなビジュアルで出てきます。
あ、写真がありました。こんな感じですね。


アマーレスで飲んだパッパス・デ・サラブーリョ。
この器の直径は20㎝以上ありました。
上に散らされたのは、欠かせないクミン
だから、知らないで頼んだ人はたまったもんじゃない。
こんな大量の煮込みスープ、どうするんだ!という感じ。


みなさん、
もしもポルトガルで料理をオーダーするときは、
くれぐれも「メイアドーズ、ポルファボール(半人前でお願いします)」の一言を忘れないで下さいね。


量の話にそれちゃったので、味の話に戻ります。


パッパスは、見た目と味のギャップがかなりあります。
どれだけ血なまぐさいのかと
恐れながらひと口飲んでみると、
「ほほー、これはいいお味ですねー」と、
その辺の誰かに言いたくなる感じです。
豚肉をよく食べる国ならではの、
血までもおいしくいただく
知恵が詰まったスープだと思います。


で、南の方に行くと、やはり似たスープがあります。
今回血のスープについての質問が
Rechinaという名前のスープを知っていますか?おいしいですか?
ということだったんですが、この名前のスープ、残念ながら私はまだ飲んでいません。


でも、手元にあるポルトガルの郷土料理事典のような「Cozinha Tradicional Portuguesa」
という本によると、
南のアレンテージョ地方では、Rexina(Rechina)またはCachola、あるいはMoleja
という呼び方もするそうです。


これまたレシピを見ると、豚の内臓と血が主。
それに加え、コショウ、パプリカ、クローブ、ビネガーなどの香辛料を加えて煮込んだスープ。
おいしそうですね、次回ぜひ飲んでみたいなあ。


南では、オレンジのスライスと一緒に出されるそうです。
肉とオレンジの組み合わせは、ポルトガルではお馴染。
日本の、魚+かぼすorすだちの方程式と似たものだと思います。


それと、血のデザートというのは、これ。
見た感じはチョコレートプディング。
でも、食べると小豆蒸しようかん。
実際は豚の血と砂糖などで作ったお菓子
パッパシュ・ドーセシュ・デ・ポルコ、
主観による訳ですが、
豚の血入り蒸しようかん風菓子
みたいなお菓子です。


中部コインブラに近い村に住む、
郷土料理研究家のおじいさまの家で
ホームパーティーに参加した時に出会いました。


言われなければ血が入っているなんてわからないので、私はてっきり
「ポルトガルでも小豆のお菓子があるんだ!」なんて勘違いしながら食べていたら、
周囲のおじさまのお友達から一斉に、
「それは豚の血が入ってるのよ!」と
ニコニコしながら言われてびっくりしたお菓子です。


西洋風に言えばプディングなんでしょうけれど、私の感想は、ずばりこれは蒸しようかんに近い。


ほかにも、ポルトガルには鰻と鰻の血、米を煮込んだもの、鶏と鶏の血、米を煮込んだものなど
血を使った料理がたくさん上がります。
もちろん、食べましたよ。でも、書いてるときりがないかも…。


ということで、ひとまずポルトガルの血のスープ&血のお菓子のお話でした。


ああ、書いていたら赤ワインが飲みたくなってきた!


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