2013/10/31

『420年前の天草クリスマスディナーin東京』at代々木「クリスチアノ」

上から時計回りに天草風たこごはん、
天草風ポルトガル煮込みのコジード
(白いごはんはコジードのスープで炊いた付け合わせご飯)、
イチジクの天ぷらバニラアイス添え。
うま味パラダイスのような滋味深い料理達!
昨日の昼、
代々木のポルトガル料理店「クリスチアノ」で
『420年前の天草クリスマスディナーin東京』
というプレス向けのPRイベントを開きました。

ありがたいことに、

想像以上に大大盛況でした!

良かったー、

本当に良かった。
ちょっと大げさですが、
これでゆっくり眠れる……。
企画者として、心底ほっとしました。

これは夏頃にポルトガル大使館を通じて、

天草市から受けたお仕事。

東京で、天草のおいしい食材を

南蛮料理(ポルトガル料理)を絡めて
PRしたいという相談を受け、
思いついたのが
天草で南蛮文化が広まった
420年前のクリスマスディナーでした。

420年前、つまり16世紀後半は、

天草に40近い教会やコレジオ(神学校)も建ち、
南蛮文化が浸透していった時期です。
実際、ひと足早く南蛮文化が広まった長崎などでは、
当時流行りのポルトガル風の料理で宴席が設けられたという記録があります。
天草でも、同じように南蛮文化が広まっていたことでしょう。


当時ヨーロッパから持ち込まれた
グーテンベルクの
活字印刷機で刷られた「天草本」にならい、
メニュー名をポルトガル式ローマ字でもご紹介
当時の文書をまとめたものや
南蛮関係の文献なども参考にしながら、
信者や神父達がクリスマスに教会で
食べたであろうポルトガル料理を絞るのは、
難しいながらも楽しい過程でした。

今回料理に使った天草食材は
味の濃い地だこ&干しだこ、
日本最大級の地鶏・天草大王、
脂に独特の甘味を持つ天草梅肉ポーク、
天草育ちの黒毛和牛・天草黒牛、
そして天草のいちじく。

以下、当日のメニュー原稿をご紹介します。


■クリスマス・イヴのメニュー(1の皿)
天草干しタコと天草タコごはん
Arroz de Polvo à Amakusa

天草の郷土料理には、たこや干しだこを米と炊く「たこめし」があり、一説には400年以上前にポルトガル人が残した南蛮文化の名残とも言われています。また、カトリック信者には、クリスマス前日(イブ)は肉食を控えて、代わりに魚を食べる習慣があり、現在でもポルトガルの北部には、イブにタコごはんを食べる家庭があります。




「クリスチアノ」佐藤オーナーシェフ(後列まん中)の
丁寧で誠実でセンスあふれるお料理が、
この会の主役。本当においしかったです。
佐藤シェフ、いつもありがとうございます

 ■クリスマスのメニュー(2の皿)
天草黒牛、天草大王(鶏)、
天草梅肉ポークのコジード・ア・ポルトゲーザ
 ~ポルトガル式ポトフ・天草風~
Cozido à Amakusa

25日のクリスマスは、とっておきの料理を家族で囲むのがカトリックのスタイル。コジード・ア・ポルトゲーザはポルトガルでは大航海時代にはすでに食べられていたという家庭的なごちそう。さまざまな肉や腸詰、野菜を煮て、そのだしで米も煮ます。手に入る肉と野菜、そして日本人の食べ慣れた米でできる、南蛮のごちそうです。

■イチジクのてんぷらとバニラアイス
Figo frito com Gelado de baunilha



天草は日本のいちじく発祥の地。ポルトガル人神父が、ポルトガルから苗木を持ち帰ったと言われています。ポルトガルのクリスマスのデザートには揚げ菓子のスイーツが非常に多く、粉を付け油で揚げる「天ぷら」は南蛮料理の影響というエピソードにちなみました。

と、このような料理をお出ししながら、
食事の時間は料理にまつわる話や当時のポルトガルと日本についてのお話を、
天草市の原田るみこさんと一緒に私もトーク。

つい欲張って長い台本を書いてしまったこともあり、
これまた緊張しました……。

ちなみに、今回参加されたポルトガル大使館のジョアオン参事官は、
「目をつぶるとまるでポルトガルにいるようだよ!」と
嬉しそうに料理を食べていらっしゃって、
見ているこちらも嬉しくなってしまいました。

ワインは乾杯にマデイラワインを、食中にヴィーニョヴェルデを提供。
食後の感想では、とくに女性がマデイラやヴェルデを喜んでいらっしゃった様子でした。
マデイラの独特の芳香や
ヴェルデの爽やかさは、日本人の味覚に絶対と言っていいぐらい合う!
私は今回の経験でまたもや確信しました。

おそらく日本で一番早いクリスマスイベント!?
また、会の冒頭には、
今年の夏に天草で開かれた
国際サンタ会議の模様を、
グリーンランド国際サンタクロース協会
の日本唯一の公認サンタさん、
パラダイス山元さんが登場して
ご紹介いただき、
天草の魅力を伝える強力な仲間として、
イベントを盛り上げてくださいました。


関係者のみなさま、
ゲストで来て下さったプレス関係の方々、
本当にありがとうございました!




ようやく心に余裕が出てきましたので、
ポルトガル料理教室、また開いていきまーす。
私の作るポルトガル料理は、もちろん簡単な家庭料理です。
難しいことはできません。
ご興味のある方は、こちらまでどうぞ。

追記:
いい感じで目立っています!
熊日新聞さんで
翌日早速ご紹介いただいたようです。
パラダイスサンタさんが大活躍!

2013/10/21

30年の300レシピ

現在発売中の「LEE」11月号付録
長谷川京子さんも今は二児のママ。
ロングヘアだった頃が懐かしく思えます
「超人気料理家のベストレシピ300」で、
掲載レシピの選択と
ライティングの仕事をしております。
非常に楽しいお仕事でした!

過去30年に渡る、
くらくらするぐらい膨大なレシピの中から、
2013年10月現在の読者に受けそうな
おいしいレシピを300に絞る工程は、
想像以上に楽しくかつ地道な仕事。
でも、このうえなく発見の多い、
貴重な経験でもありました。

300というレシピ数は、
実際ストックされている全体のレシピの
何%ぐらいになったんだろう。
1割以下は間違いないと思います。
とにかくものすごい数でしたから。
数号ごとにファイリングしてあるブックも
並べるとバーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンと。
迫力でした。
第一印象は、
この山、登れるんだろうかという感じ。

レシピと一緒に載っている
料理研究家やシェフのみなさんのお顔写真にも変化あり!
10年、20年と時を経て、ますます素敵になっている。
そしていつまでも若々しいことに心底驚きました。
若いだけでは絶対に出ない魅力を、写真は正直に語ります。

この冊子の担当編集のNさんは、
いつも頼もしいほどの食いしん坊っぷりを発揮していて、
撮影終了後の食べっぷりの良さは、私の知る限り業界No.1。
ケンタロウさんの撮影でも、お墨付きをいただいていたとか。

そんな編集Nさん、
レシピ選択作業中も
「これ、うまそー」
「これ、撮影行ったんですけど超うまかったんですよ」
「あー、これも絶対うまいはず」
「おーっ、これもうまそう」と、
数号ごとにファイリングしているレシピのストックファイルを
まるでメニューでも見るかのよう。
その様子もまた、面白かったな。

そして、
ざっと全体のレシピを眺めてみると、
やはり時代ごとに特徴があるもんだと感じました。
レシピも、写真も、スタイリングも。
あと、タイトルの付け方も。

80年代は、料理ページだけど結構攻めてる感じ。
お酒を添えるスタイリングが多かったり、
洒落たい!もっと本格的に作りたい!という突っ込むレシピが多く、
レシピの内容も細かいし、材料も多め。
家庭で作る、本格もてなし料理の側に意識が向いている感じでした。
バブルな感じもほんのり。

90年代に入ると使う食材に大きな変化が出てきて、
イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノ(塊)や、中国の豆豉など、
家庭料理にも本格的な素材を取り入れる傾向が強まってきていました。
調度テレビで「料理の鉄人」が人気だったころで、
プロの料理人も登場回数が増えています。
各地の塩やしょうゆなどの調味料をピックアップするといった、
マニアックな面も出てきていました。
景気が良かったせいもあるんでしょうね、
もっといい素材のものを家庭料理に取り入れてみよう!という雰囲気も感じました。

2000年代は、そういった本格調味料を引き続き紹介する一方で、
昔からある豆や乾物といった和の食材を上手に取り入れてみたいという、
温故知新のような傾向も見えてきはじめました。
食材をあまりいじり過ぎずに料理したいという傾向も出てきて、
蒸し料理や、野菜など素材のうまみを意識したスープ類などもぐっと増えて。
それと、カフェスタイルも流行っていましたね。
スタイリングへの意識も強まって、
盛り付けというよりも、器などアイテムへの感心が強まっている感じでした。

2010年代の今は、さらに食材に温故知新の傾向がある一方、
シンプルな素材で簡単にできる料理を求める傾向が強まっていると感じます。
簡単イコール手抜きではなく、
無駄な工程を極力省いた、
素材を生かすシンプルで素直な料理がいい、というニーズなのかも。
地産地消の意識が高まってきているのも最近の特長だと思います。

調理道具も種類もかなり増え、こだわる人も確実に増えています。
ル・クルーゼやストウブなどの鋳物鍋やフードプロセッサーなども
標準装備になっている家庭も多く、
料理好きな女性(もちろん男性も)の料理は今後もこだわりが深まっていくと思います。

ただその一方で、
基本的な料理をレシピを見ないで作れないという人も
増えているような気がします。
煮物、焼き物など、いわゆる普通のごはんのおかず。
献立を立てるのが苦手という人も多いみたいです(毎日面倒というのはよーく分かります)
だから最近は、基本の料理のような本や献立本が
売れている傾向があるんでしょうね。

私達のまわりには実に多くの料理が溢れていますが、
子供にとって、親の手作り料理ほど意味のある料理はないと思います。
時間や手間をかけずに、
というか、私も日々は忙しくてかなりシンプル簡単料理が多いのですが、
冷凍やストック(常備菜)などのアイデアもひねりながら、
子供にはできるだけ、家庭の味を味わって育ってほしいと思います。

なんだかんだ言っても、
お父さんやお母さんが作る料理に勝る料理なし!
仕事が忙しくて大変なママも
家庭料理、ほどほどに頑張りましょう。
ときには外食や買ってきたもので息抜きしながら、
いつのまにか子供にリクエストされるような
ママの定番料理ができれば最高ですね。

私もこの夏は麺ばっかりだったから、
秋冬はちゃんとおかず作ろうっと。
ま、なんとなく酒のつまみっぽくなっちゃうんだけどね、
それも母ちゃんの味なのさ。

2013/10/05

ケータリングフードの世界

食べてる途中であわてて撮りました。
エディブルフラワーのあしらいが効いてます
東京はケータリングフードがホットですね。
いやーびっくり。

某ファッション誌で、
ケータリングフードを取材中です。

おしゃれでおいしい、
おしゃれで健康、
おいしくておしゃれ、
楽しくておいしい、
ヘルシーでおいしいなど、
味もスタイリングもさまざま。

ケータリングフードは、
まさにセンスの世界です。
味もセンス、
スタイリングもセンス、
食べものの扱い方もセンス。
フルオブセンス!

いろんな味に出会いましたが、
今の私にビシビシ来たのは
「中目黒REDBOOK」
井上愛さんのケータリングフードのひとつ、
野菜のムースのカナッペ。

左からパプリカ、
ブロッコリー、
ハム。

とくにパプリカが味も香りも食感も
ビジュアルも好きです。
なんともやさしい色。

井上さん、これ、バケツ1杯いけちゃいますよ!