2012/06/28

虫問題

「またミントにアブラ虫がいるよー」
料理に使うハーブは、ベランダで育てています。

昔はあれこれ育てていましたが、
引っ越しのときあまりに鉢の数が多くて
大変な思いをしたので、しばらく敬遠していました。
でもやっぱり、料理のたびにハーブを買うと
値段がばかになりません。

イタリアンパセリ、
ローズマリー、
オレガノ、
ミント。


セージも苗を購入したのですが、
間違って食用ではない「ホワイトセージ」を
買ってしまいました。


説明書きを読むと、
「アメリカインディアンの間では、昔から人、物、空間など
あらゆるものを浄化する力があると信じられてきた」
とあるので、
そのうち私自身の浄化に使いたいです。
煩悩が多すぎてセージが枯れちゃうかな。
…。


この苗たちは、鹿児島のハーブ専門の苗屋さんから取り寄せました。


そもそも苗をネットで買える、ってことが驚きですよ、私には。
数ヶ月前、ガーデニングにはまっている知人男子編集者に聞いて、
試してみたわけです。


鹿児島から東京と距離もあるから、状態がちょっと心配でした。
でも届いた段ボールを開くと、ちゃんと倒れないように梱包してくれてるし、
何キロもする植え替え用の土も一緒に注文すれば、
重たい思いをせずに極めてラクチンです。
なんということでしょう(ビフォー&アフター風)!


このところはすっかり日差しも夏めいて、
ベランダハーブはぐんぐん育っています。


が、同時に虫も出現しはじめています。
無農薬の苗だから、油断するとあっという間に食べられちゃう。


以前、バジルとルッコラを育てていたとき、
仕事が忙しくてちょっと見ないうちに、
あっというまに茎と葉脈を残して丸坊主にしてしまった経験があり、
心穏やかではありません。
今回は虫のエサにはしたくないのよ。


虫よけにも使われるはずの丈夫なミントも、
緑色のちいさなちいさなアブラ虫がくっついて、
葉をもぐもぐしだして穴があいたりする始末。


毎朝起きて葉をチェックしていると、
娘が横で真似してハーブをじっと見ています。


アブラムシは小さくて指でつぶれるほどなので、
ティッシュを手にあれこれ作業していると、
後ろから娘が「まーたアブラムシがいるー」と、私の口ぶりそっくりにつぶやいています。


でも、緑の小さなアブラムシは気持ち悪いらしく、
決して自分では触りません。


手伝ってと言うと、「はい、ティッシュ」と取ってきたティッシュを私に手渡しし、
あとは横で虫探しのまねをする娘。
ま、いいよ、最初は見てるだけでもさ。
何でも最初はじっくり見るところから始まるからね。


ミントは元気にもりもり茂らせて、
7月の隅田川の花火を見ながら、自家製モヒートを作って飲みたいの。


ポートワインのホワイトをトニックウォーターで割る「ポートニック」にも、
たっぷり入れて飲むんだわ。


つまみは何がいいかなー。


さ、毎朝虫退治、がんばるぞー。






2012/06/26

BBQニューブーム。

1リットル仕込んだサルサとハーフサイズのワカモレ。
これだけで飲める
BBQブームは定期的にやって来るようです。


世の中的にではなく、
私に、です。


10年ぐらい前の数年間は、
最もアウトドアで食べていた頃。
毎年キャンプも兼ねて仲間と出掛けては、
いろんな料理を作って楽しんでいました。


焼き鳥職人、パスタ職人、スモーク職人、
仲間には料理好きが多いので、
みんな一番食べたいものを勝手に作ってくれる。
アウトドアだと男の方が「任せろ」モードに
なってくれるから、
女はただ食べるだけ、飲むだけということが多かった気がします。
BBQのとき、女は食べる専門。
これ、最高です。
毎日BBQならいいのに。




でもその楽しみも、この10年はなかなかできませんでした。
特に疎遠になったわけではないけれど、
そうそう遊んでいられないお年頃だった?


一気に仕事が忙しくなり、海外に転勤する人、独立する人、異動で休みが取りにくくなる人、
子どもの誕生で動きが制約されるなどなど。


みんなの足並みが揃いにくくなり、
気軽に集合をかける感じではなくなっていました。


が…


最近、仲間がアラウンド40になって、なんとなくBBQ復活です。




10年経って何が成長したか。
ちょっとBBQしながら仲間を(私も込み)観察してみました。


①みんな、飲み方が成長しています。
泥酔する人はいません。
かつてはかなりトラになっている人を見かけました。


②食べ方が成長しています。
大食い選手権みたいな状況にはなりません。
かつては食材費が恐ろしい金額になっていました。


③個々の動きが成長しています。
準備も片付けもみんな積極的で早い。
かつてはいつまでも飲みたい人多数で、なかなか終わりませんでした。


デザートのフルーツマリネ。
食べる直前に黒コショウをひきます。
大人も成長が見えるときがある!と、小さな感動でした。




さらに10年経って進化したのが、
女性炭焼き職人『炭ガール』が仲間に誕生していたこと。
日本BBQ協会認定の公式炭起こし職人です。


Sちゃん、朝公園に一番乗りで着くなり、
テキパキと炭焼き場を段取り、
誠に見事な火起こしをさりげなーく開始。


煙に目をしょぼつかせることもなく、
汗をかきかき(結構暑かったんです)黙々と
任務完了していました。


ちょっと大げさになりますが、
そのプロに徹した一連の行動を見て…


惚れ惚れしました。


かっこいいよ、Sちゃん!


あんたー、男前女子だね。


これからBBQでもてるのは、
料理上手ではなく、炭起こし上手なのでは?


さらに夕方からは場所を移動し、
広いラウンジスペースで涼みつつ残りのお酒を楽しむ夜へとシフト。


小腹が減って何か食べたいね、という状況になったので、
残ったサルサをベースに、残ったスモークウインナーを加えて
ジャンバラヤ風のパスタを作り、みんなで食べました


なかなか好評だったんで写真でも撮ろうかと思ったら、器が空っぽ。
次のBBQでも作ろうかな。


みなさん、また集まりましょう!


2012/06/21

納豆に大葉


仕事帰りの遅い時間、
近所のスーパーに寄って晩のおかずの買い物。


夜のスーパーは、客のピークを終えてなんともゆったりした雰囲気。
このゆったりした中をうろうろするうちに
さっきまでの緊張感や焦り、煮詰まった頭の中が
ほぐれていきます。


脳味噌が、ゆるくほぐれていく感じです。




並んでいる肉や魚などを見ては
「このタコ、カルパッチョにしてあのワインと合わせよう」
「やっぱりこっちの砂肝を揚げて塩して、まずはビールかな」


酒のつまみ兼おかずの献立をあれこれ考えながら買い物するのが、
何よりの至福モーメントだった数年前。




ああ…懐かしい。
ああ…あの頃は自分中心に献立が立てられる良い時間だったなあ。
ああ…もう戻れないんだろうか…。


そう、戻れません。
あなたは戻れないんです。
もう戻れないのは、誰より自分が一番良く分かっています。


おチビが生まれてからは、
そんなのんびりした至福の買い物タイム、とんと味わってません。


母ちゃん、んなひまはないのです。




朝から仕事でフルに動き、終わったら大至急保育園へ。
夕方過ぎてもまだまだ元気いっぱいのおチビを迎えに行き、
おチビに振り回されつつ帰宅。
ここですでにヘトヘトの状態。


で、最後の力を振り絞って用意する遅めの晩ごはん。
自分だけのつまみなんて作る余力、
これっぽっちもありません。
あるわきゃない。


余力がないだけじゃなくて、
子どもと共通のおかずを作るわけだから、
ほろ苦さや辛さ、酸っぱさなどは基本的にNG。
つまり、つまみ的なメニューは却下です。


にんにくやしょうがなどの香味野菜類もまだまだ難しい様子。
最近はそれでもこっそり少量を加えて料理するんですが、
「これ、辛いよ」としょうがのみじん切りやにんにくのかけらを目ざとく見つけ、
さっと手でつまんで私の方にかざし、
きっぱりと拒否。


NOと言えるその性格はきっと親譲りだろうから仕方ないのですが…。


ま、おチビはまだまだ舌が敏感、ということでもあります。


実際、幼児の舌には体によくない食材を拒否するセンサーがあり、
それに当たると強く反応するようにできていて、
辛い、苦い、酸っぱいの味は、食材が不穏な状態だと認識するそうです。
腐ってるとか、傷んでるとか、そのへんとイコールと捉えるらしい。


だから、料理に入れた生の長ねぎの辛みやみょうがのクセ、
炒めもののしょうが、にんにくなどを口にするとすかさず皿のはじに寄せ、
決定的にイヤなときは、手でつまんで私に直接渡そうとします


そんな、よくわかったよ、嫌いだってことは…。
はっきりした性格だなあ…。




考えてみればまあ、男の人の食の好みに限りなく近いわけですが、
晩酌が欠かせない私には、
やはりアクセントのある料理が作れない状況はなかなか厳しい。
結果、シンプルな味つけの料理に黒七味や粉山椒、
ユズコショウ系の練り調味料、ホットソース類などをふりかけるというパターンが増えました。
唐辛子の輪切りや糸唐辛子なども便利で、
炒めものの仕上げに自分だけふりかけたりします。
本当は唐辛子を最初から油に入れて炒めたくてウズウズするのですが、
家庭内平和のためには止むをえません。


それはそれで、いろんな調味料を知るいい機会なのですが、
冷蔵庫のサイドポケットがそろそろパンパンかも。


早く大人の味覚になって欲しいなあという切なる思いから
今朝も納豆に大葉をちょっと刻んで混ぜて出したら、
「私大葉大好きになった!」と大葉をつまんで皿の端に寄せた娘。


食べてないよね、
残してるよね、
好きならしないよね、
じゃ、それってどういう意味なの??


朝からこんな小さいことが気になる母ちゃんでした。
次はキムチ刻んでみようかなー。




2012/06/19

料理男子「からあげ」号、発売中です。

見るからにおいしそうな表紙。
やっぱりビールかな
ただ今発売中のdancyu別冊「料理男子」は
まるごと1冊からあげを特集。


自分が関わっておいて言うのもなんですが、
ページを開いて数分でからあげが食べたくなる、
猛烈においしそうな1冊になっています。


私の担当は、
プロのからあげのおいしさの秘密を探るページ。
からあげ専門店、タンメンとからあげの専門店、
ビアバーの人気からあげを取材。
みなさんそれぞれに大切にされている、
おいしく作る秘密を探ってきました。


レストランでも定食屋さんでも、
自分の店の味をレシピとして一般公開するのは
なかなか勇気のいること、
取材を断られることも少なくありません。
でもそこをなんとかひとつ、とお願いして、
やっと教えていただけた3店です。








写真を見ているだけで幸せな気分に…


お店ごとに揚げる肉の量も厨房の勝手も違うので、
コツもいろいろ。
いろんな研究や工夫がなされた結果のレシピですから、
なるほどね、これをこうしてこうするのね、ははーんと納得ポイントがたくさんありました。


掲載レシピはもちろん家庭用ですから、
じっくり読んでまねっこすれば、
かなり近い味になるはずです。


ちなみにからあげは、肉の味つけ、衣の粉の扱いなどももちろん大切ですが、
一番肝心なのは揚げ方です。


からっと揚げるには、
油の温度を急に下げないように
肉の一括大量投入はなるべくやめましょう。
衣にまったく覇気がない、残念なからあげになってしまいます。


お店だと、深さのあるフライヤーでたっぷりの油で揚げるので
一度に数個入れても平気ですが、
家庭用の鍋はそんなに深くも大きくもない。
油の量だって、正直そんなにたっぷりは使えない。
だから、家のからあげは揚げるときに注意が必要なんです。


では、失敗なくからっと揚げるにはどうしたらいいのか?
詳しくは本誌でしっかり解説しています、どうぞご覧下さい。
ほんと、読むだけで楽しいですよ。


今年に入って、からあげ大特集に関わるのはこれが2回目。
からあげのブーム、まだまだ続いている模様です。
からあげ協会の安久会長さん、嬉しいだろうなあ。












2012/06/15

「和樂」7月号、発売中です

「和樂7月号」はビビッドな表紙。
つくづく雑誌は、表紙がものを言いますね
今月発売の小学館「和樂」で、
人間国宝インタビューの文章を担当しました。
今回は、能楽・能シテ方の友枝昭世さんです。


能の世界で随一の人気シテ方の友枝さん、
都内の稽古場での練習風景を拝見したのですが、
とにかく動きがシャープ、かっこいいんです。
年齢など全く感じさせない身体能力の高さに、
思わず見入ってしまいました。
中腰のすり足で畳の上をスーッと動かれる所作は、
周囲の空気にすっと刀が入るよう。
迷いなく、静かに、潔く、美しく。
鍛錬のたまものとしか思えません。


能を観たのは高校の授業が最後の私。
シテが主役、ということぐらいしか分からなかったので
インタビュー前には入門書を大至急読んでにわか勉強。
直前に慌てて入門書を漁るなんて
まあ恥ずかしい話しですが、
知らないのはもっと話しにならない。
開き直って勉強するのが一番です。


それに、知らないことを知るってやっぱり楽しい。
ただしあまり楽しんで読むと、あー面白かったで終わっちゃって、
肝心の基本的な知識が頭に入らないことも。
ざっと書き出すと、頭の中にいろいろ整理されます。
それから、the能.com(http://www.the-noh.com/jp/index.html)というサイトも面白かった。
古のものは、奥が深いからその歴史を辿るだけでも楽しいもの。


水野聡著「風姿花伝」は
初心者に徹底的にやさしく書かれ、読みやすい。
本人が書いた「白洲正子自伝」は
白洲正子本人と、彼女の生きた時代の
面白さを味わえる本

ちなみに能は、600年以上も昔から続く日本最古の演劇。
当初は野外で行われていた舞踏劇、
つまりライブ・パフォーマンスだったということや、
人間の喜怒哀楽などを表す型、という基本の所作がいくつもあって、
それを基に舞いが構成されている(バレエにも似ていますね)ことなど、
基本的な事実が私にはとても新鮮でした。


今回のインタビューの下準備中に読み返した本は、
いくつかの入門書の他に自分の本が右の2冊。
「現代語訳風姿花伝」と「白洲正子自伝」です。


こういうときに参考までにと関連本を読み出すと
すっかりはまってしまって、
肝心の基礎知識の整理がおろそかになってしまうのは、
試験勉強前のマンガにはまる現象とほぼ一緒。


ふと本にはまっていることに気がついて
慌てて仕事に戻るのですが、
そういう時の集中力ってどっから出てくるのか自分でも驚くほど。
気まぐれに集中しないでさ、
普段からコンスタントに集中して欲しいんだけど、
と、自分にお願いしたくなります。


何かを極めている方のインタビューをすると、
いつも終わり頃には憧れのような感情がじわじわと湧いてきます。
何かを求めて一途に進む潔い生き方に、憧れてしまうんです。
今回の取材も同じく。


ご興味のある方は、ぜひ書店で手に取ってみてください。





2012/06/13

ロゼの予感!?(イベント案内も)

ロゼに合わせたひと皿は、
自家製スモークサーモン ディルとライムのクリーム。
先週、ワインインポーターのミレジムさんが開かれた
プレスランチに参加しました。
場所はホテル西洋銀座のレストラン「レペトワ」。

主役のワインは「シャトー・レ・トロワ・クロワ」
赤(2000,2005,2009)とロゼ(2010)。
サンテミリオンやポムロールも見渡すことができる、
ボルドー・フロンサック地方のワインです。

同じ畑のワインを年代別で比べる場合、
新しいものから古いものに遡って飲み比べることが多いのですが、
今回は古い年のものから味わうことに。
畑とブドウの成長とともに、
自分達の望む味に近づいてきているワインを感じて欲しい、
という狙いです。

シャトーの所有者は、メドック4大シャトーのひとつ
ムートン・ロートシルトや、カリフォルニアの代表的ワインであるオーパス・ワンなどを手掛けたパトリック・レオン氏と、その家族。
95年に畑を購入してから、実際の畑作業は息子のベルトランさんが中心となって進めているそうです。
ランチの席では、ベルトラン・レオンさんによる
ワインのお話をたくさん伺う事ができました。

「自分達の味わいを表現するには、畑作りだけでも10年はかかる」と
お父様のパトリック氏に言われた通り、
始めのうちは毎年少しずつ畑とブドウのバランスを見て育てていくのが大変だったそう。

収穫期の9月になると、一粒の雨音でもすれば飛び起きて畑に様子を見に行く、というから、
ワインを作ることがいかに農業なのかという事がよく分かります。
収穫前に雨が降ったら、丹精込めて育てたブドウが台無しですからね。

肝心のワインですが、赤の2005年は男性的な力強さ、2009年は女性的なふくよかさがある味わいで、
ブドウの甘味もほんのり感じます。どちらも魅力的ですが、個人的には2009年がより好み。
ベルトランさんが目指すワインは健康的で、バランスがよく、上品、というポイントがあるそうなのですが、
そういう点では2009年が一番近いのかな、と思いました。

でも、この会で一番話題をさらったのは、実はロゼ。
もともと家族の結婚式用に作ったプライベートワインだったそうですが、
飲んだ人達からの評判があまりに良かったので一般向けにも売り出すことに。
日本では今回600本が入ってくるそうです。
上代2500円だそう。

このロゼが注目された点は、まず色。
淡く、限りなく白に近いピンク色。注がれると思わず見入ってしまう繊細さ。
それから味わい。注いですぐでも華やかな香りがありますが、
30分経つとさらに香りが広がっています。
ブドウの力強さでしょうか。かわいいビジュアルながら、しっかり味わえるロゼでした。
製法はセニエ。トロワ・クロワ・ルージュの各樽から少しずつ抜いたものです。

ちなみにベルトランさん、ハンサムで品のある方だったので
写真をご紹介したかったのですが、
なぜか自分のipodで撮ったその写真、このブログにアップ出来ません。ホワイ?
(人物を撮ると、ときどきアップできない写真があるんです…)

それから、この会で同席されたワインジャーナリストの綿引まゆみさんから、
ロゼワインのイベント「LOVE ROSÉ 2012」http://love-rose.org/
の案内もいただきましたので、以下にご紹介します。

日時:2012 年7 月3日(火)
会場:TWO ROOMS GRILL | BAR
東京都港区北青山3-11-7 AO ビル5F
TEL:03-3498-0002
http://www.tworooms.jp/ja/
東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」
B2 出口より渋谷方向へ徒歩1 分

内容:2部制
1部:ワイン業界関係者のみ対象の試飲会
15:00~17:00

2部:ワイン愛好家など、一般消費者向けパーティー(会費制)
18:30~20:30
参加費:¥5,000(事前振込)
定員:220名(申込先着順)
ドレスコード:ピンク色をどこかに!


http://love-rose.org/
サイトの一番下に、申込みボタンがあります。

ご興味のある方は、昨年のイベントの様子がわかる綿引さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/may_w/e/dfdd78d2b65d28177bb22ff41086d88a
もご覧ください。


先日のポルトガルの会でも、
ソムリエ馬場さん注目のポートワインのロゼを楽しんだこともあり、
やはりロゼブームは各地で広がっていることを実感。

ロゼの予感!?

2012/06/08

ポルトガルナイト

パステイシュ・ドゥ・バカリャウ(干し鱈のコロッケ)
ポルトガル料理の前菜の定番
サッカーチームのサポーターやワインコレクター、
AKBファンに韓流ファン、
鉄道ファンや歴女(歴史好きの女子)など、
ひとつのものを同じように愛するファンの集いは、
常に熱いものです。


とある夜、代々木のポルトガル料理店『クリスチアノ』では、
ポルトガル関係者やポルトガル好き10名が集まって、
ポルトガルの料理とワインで盛り上がり、
希少なワインもあれこれ楽しみました。


関係者というのは、
Bさん(ポートワインコンテストで優勝歴を持つソムリエ)、
Kさん(ポルトガル好きのチーズスぺシャリスト)、
Nさん(日本ポルトガル協会事務局)、
Tさん(ポルトガル観光貿易振興庁在籍)、
Hさん(ポルトガルタイル工房主宰)、
Kさん(ポルトガル本著者で料理研究家)、
Yさん(テレビ局プロデューサーでポルトガル取材経験者)、
Sさん(東京・大阪のポルトガル料理店店長経験者)、
Sさん(有名ホテルのキャプテンバーテンダー)
それに私の計10名。濃いメンバー、よくぞ集まりました。


初めてお目にかかる方もいらっしゃったのですが、
ワインの力で最初から最後までみんなでしゃべりっぱなし。
好きを語る、良さへの共感を分かち合う楽しさは、お酒の最高のおつまみです。


普段お店で食事をするときは、私、写真は滅多に撮りません。いや、撮れません。
すぐに食べちゃうからです。撮っている間に料理がどんどん変わっていくのが惜しいんです。
でもこの日は『クリスチアノ』の料理をちゃんと撮ってブログで紹介しようと決めていました。
だから珍しく食べかけの料理じゃありません!
(なんてちっとも自慢にもなりませんが、嬉しくてつい)。


メニューを全部撮るわけにはいかないので、
特徴的な干し鱈(バカリャウ)を使った料理をいくつかご紹介。


まず、上の写真は「パステイシュ・ドゥ・バカリャウ」。
干し鱈とジャガイモのコロッケです。
家庭でも、レストランでも、どこでもみかける大定番の料理。
前菜で出されるこの料理がおいしかったら、そのお店はおいしいと言っても過言じゃない。
干し鱈の質や戻し具合が味を決めるので、そう言われるんだと思います。
クリスチアノの干し鱈コロッケは、外はサクッ、中はふわっ。
程よい塩加減と香ばしい香りで、たちまちワインが欲しくなってくる。ああ、何個でもいけそうです。


にんじんがいい仕事してる!
次にサラダ。「サラダ・デ・グラォン・コン・バカリャウ」。
干し鱈とひよこ豆のサラダです。にんじんも見え隠れしていますね。
干し鱈のうまみがしっかり、食べ飽きないサラダです。


これ、トマトとコリアンダーのサルサがトッピングされていて、シェフの味のセンスの良さが光ってる。
ポルトガルはコリアンダーをいろんな料理のアクセントに使うんですが、
コリアンダーってすごく存在感のあるハーブだから、
時に料理の主役を食っちゃう。
だから、使い方が料理の味のバランスにかなり影響します。そういう観点から言っても、コリアンダーの使いかたがうまいなあ、と思います。
サルサにすることで、コリアンダーが上品に生きている。


ちなみに干し鱈はお店の熟成庫で寝かせた自家製。
自家製ですよ、奥さん(奥さんって誰だ)!
ポルトガルでは干し鱈を作る人なんて滅多にいません。


もちろん、向こうでは街のそこらじゅうで干し鱈を売っているから,
そもそも作る必要なんてないというという根本的な違いもあるのですが、
じゃあみんなおいしく干し鱈を使いこなしているかというと、どうだろう。
私が食べてきた感じでは決してそうではなく、
やっぱりまず良い素材(干し鱈)を選んで、
さらに丁寧な戻し方も大事なんだと思います。


調度良く戻した干し鱈は、そのままでもつまみになります。
味のイメージは、魚の干物の身をほぐした感じ
以前ホームステイしたコインブラのマリアの家でも、
着いたそうそう、キッチンの上に干し鱈を戻しているボウルを見つけました(左写真)。


カチカチに硬い干し鱈は、数日かけてゆっくり戻すもの。
でも、戻し過ぎると塩気もうま味も抜けてばさばさした鱈になってしまうから、
結構繊細な作業なんですよね。


ちなみに干し鱈がどんな感じで現地で売られているのかというと…




この硬さ、立派な凶器です
こんな(右写真)感じ。
大きな鱈を開きにした三角形のまま、
たっぷりの塩で漬けこんで、がちがちになるまで干しています。
日本の棒だらより脂分もあって何倍も厚みがあり、大きい。
質の良いものなのはこんな風に一枚ずつ店頭に下がっていますが、
大量に扱う専門店などでは、ノートみたいに重ねて置いて売っています。
魚なのに、ノート扱い! とびっくりしますが、
がちがちに硬いので重ねたってどうってことないんですね。


干し鱈を使った料理のバリエーションは
焼く、揚げる、煮る、炒めると数えきれません。
グラタン風、サラダ、かき揚げと、何にでもできる。
ポルトガルでは365日毎日食べてもレシピがつきないと言われていて、
実際1000以上のレシピがあると言われています。
クリスマスのごちそうも、七面鳥ではなく干し鱈をゆでたもの。
カトリック文化の強いポルトガルならではの食習慣です。
でも、ポルトガルの友人の中には
「やっぱり肉の方が好き」と言う人もちらほら。
お母さんに頼み込んで、肉料理と干し鱈の両方を作ってもらうという人もいました。そりゃ、お母さん大変だわ。




フライドポテトの香ばしさに
干し鱈のうま味がしっかり。
ワインもいいけどこれはビール、かな
さて、話を料理に戻して…。


次は「バカリャウ・ア・ブラシュ」。
バカリャウとフライドポテトの炒め物。


これも家庭でもレストランでも必ず作っている大定番料理で、
戻した干し鱈と千切りポテトのフライを炒め合わせ、卵でとじます。
干し鱈のうまみを吸ったポテトが、
卵とからんでしんなりした感じがたまりません。


ちょっと面白いのが、
ポルトガルのスーパーマーケットを覗くと、
千切りのフライドポテトが袋入りで売られている、というもの。
これ、スナックとしてではありません。
あくまでバカリャウ・ア・ブラシュ用。
いろんなメーカーで出しているようで、
陳列棚にずらり並んでいます。
本当に定番料理なんだというのが、
よく分かる光景でした。
袋入りのポテト、撮った写真あったかな…
あ、ありました!これですね(下写真)。




この料理、ポテトは
細ければ細いほどうまい!
そのままで食べたらスナック代わりになるのかなーと
ぼりぼりつまんでみましたが、
素揚げなので、
一般のスナック菓子と比べるとちょっと物足りない。
やっぱり料理用なのでした。
時間がない時やフライドポテトを作るのが手間なときは、
この袋入りを使って料理する人も多いよう。




私もバカリャウ・ア・ブラシュを日本で作りたくて、
まずは干し鱈に近いものを作ろうと
鱈にひと塩して冷蔵庫で寝かせたり、
レンジの低いW数で水分を飛ばしたりして炒めてみましたが、なんか違う。まず、干してないから特有のうま味が出ない。
結局、魚は全く違うんだけど、アジの干物をほぐしたものと炒めたものが一番おいしくできました。
でもそれって創作料理じゃん!
バカリャウ・ア・ブラシュじゃないのよね。


だから、干し鱈を熟成庫を作って自分で作っているという佐藤シェフには
料理人としての心意気を感じるのです。
ちなみに、ショリッソ(腸詰)やハムも自家製です。
こちらもやみつきになる味ですが、その話はまた今度。




芳醇な甘口ワイン、しかもピンク色。
イベントで特に活躍しそうなお酒です
さらにこの夜は、ソムリエの馬場さんが
珍しいおいしいお酒を何本も持参して下さいました。


特に印象的だったのが、ポートワインのロゼ。
ポートのロゼなんて、聞いたことありません。
馬場さん曰く、
数年前から各シッパー(メーカー)が
作り始めたそうなんですが、
なんとも華やかなピンク色と奥行きのある甘さは
食前酒に最適です。
もちろん味わいはポートそのもの。
この春から日本にも入ってきているそうです。


本来の味を楽しむにはストレートが一番ですが、
ポートはアルコール度数が19度とかなり高い。
アルコールがあまり得意ではない女性なら、
炭酸で割って飲むのがいいかな。
見た目にも可愛いし、
チェリーやイチゴを浮かべるといっそう華やか。
カクテルもありですね。


私もこの夏はポートのロゼをストックしておこうかな。


それにしても、本当に楽しい会でした。
ポルトガルに興味のある方々、また集まりましょう!